ROSE TOWN DIABETES CLINIC | 群馬県前橋市江木町・糖尿病内科
生活と治療 公開日 2026年8月 | 最終更新 2026年8月

体重が3kg減ると、
血糖値はどう変わるか

「10kg痩せてください」と言われても、どこから手をつければよいか分かりません。実際の診療で目安にされるのは、もっと小さな数字です。この記事では、なぜ「3〜5%の減量」が一つの目安とされるのかを、日本のガイドラインと国内外の研究をもとに整理します。減量が難しい場合の考え方もあわせて。

この記事の内容

1. まず「3〜5%」が何kgなのかを計算する

減量の目標は「何kg」ではなく、現在の体重に対する割合で考えます。体重が違えば、同じ1kgの意味も変わります。

現在の体重3%の減量5%の減量
60kg約1.8kg約3.0kg
70kg約2.1kg約3.5kg
80kg約2.4kg約4.0kg
90kg約2.7kg約4.5kg

70kgの方であれば、
目安は「まず2kg」です。

2. なぜ少しの減量で数値が動くのか

2型糖尿病では、インスリンが分泌されていても効きにくくなっている状態(インスリン抵抗性)が関わることがあります。この「効きにくさ」に大きく影響するのが、内臓のまわりや肝臓、筋肉にたまった脂肪です。

体重が減るとき、先に減りやすいのが内臓脂肪です。そのため、見た目が大きく変わらない段階でも、インスリンの効きが改善し始めることがあります。これが、少しの減量でも数値が動きうる理由です。

減量が血糖に届くまで

体重が減る 内臓脂肪が減る 肝臓・筋肉の脂肪も インスリンが 効きやすくなる 血糖が下がる ※ 効果の大きさは、糖尿病歴やインスリンを分泌する力によって異なります

参考:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター/厚生労働省 e-ヘルスネット

3. 日本の肥満症診療ガイドラインが示す目標

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン」では、減量目標が肥満の程度によって示されています。

区分減量目標考え方
肥満症(BMI 25以上35未満)現体重の3%以上3〜6か月での達成を目安とします。健康障害の改善が期待できる範囲とされています。
高度肥満症(BMI 35以上)現体重の5〜10%より大きな減量が目標とされますが、段階的に進めます。

出典:一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン」。
参考:一般社団法人 日本肥満学会

また、糖尿病がある方の体重管理については、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」において、年齢や身体活動量を考慮した目標体重の考え方が示されています。「標準体重まで落とすこと」が一律の目標になるわけではありません。

参考:一般社団法人 日本糖尿病学会

4. 血糖以外にも変わるもの

3%前後の減量で改善が期待される項目は、血糖だけではありません。肥満症診療ガイドラインでは、減量によって複数の健康障害の改善が見込めることが示されています。

血糖値・HbA1c

血圧

中性脂肪・HDLコレステロール

肝機能(脂肪肝)

尿酸値

睡眠時無呼吸、膝や腰の負担

健診で複数の項目を指摘されている場合、体重は「まとめて動かせる可能性のある一点」になります。血糖だけを見るのではなく、全体で確認する理由がここにあります。

5. 体重が減っても数値が変わらないとき

「体重は落ちたのに、HbA1cが下がらない」というご相談もあります。これは努力が足りないという意味ではありません。次のような理由が考えられます。

インスリンを分泌する力が低下している糖尿病歴が長い方では、インスリン抵抗性よりも分泌の低下が主体になることがあります。この場合、減量だけでは十分に下がりません。
HbA1cの反応には時間差があるHbA1cは過去1〜2か月を反映します。減量の効果が数値に表れるまで、少し時間がかかります。
筋肉が減っている極端な食事制限では、脂肪より先に筋肉が減ることがあります。筋肉はブドウ糖を使う場所なので、かえって血糖が下がりにくくなる場合があります。
ほかの要因が関わっている睡眠、ストレス、ほかの病気、使用しているお薬(ステロイドなど)が影響することもあります。

体組成(脂肪と筋肉の内訳)を確認すると、何が起きているのかが見えやすくなります。当院と同じ建物には、当院院長が代表を務める健康管理型フィットネス Medifit Lab(メディフィットラボ) があり、体組成の測定や運動の継続をサポートしています。ご利用は任意です。

6. 減らしてはいけない場合もあります

すべての方に減量が勧められるわけではありません

ご高齢の方で、筋肉量や体力の低下(サルコペニア、フレイル)が心配される場合

意図せず体重が減っている場合(別の病気が隠れていることがあります)

腎機能が低下している場合(たんぱく質の量に配慮が必要なことがあります)

インスリンやSU薬などを使用中で、食事量を減らすと低血糖の心配がある場合

食事量を大きく変える前に、必ず主治医にご相談ください。お薬の調整が必要になることがあります。

お薬の効能・副作用・使用上の注意は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品情報検索でご確認いただけます。
参考:PMDA 医薬品情報検索/日本老年医学会

7. 続けられる方法から始める

3%の減量を3〜6か月で。この速度であれば、極端な制限は必要ありません。診察では、いまの生活のなかで「変えると効きやすく、続けやすいところ」を一緒に探します。

甘い飲み物を水やお茶に替える

夕食の主食の量を見直す

座っている時間を減らす

いつもより少し長く歩く

週に1回、同じ条件で体重を測る

無理のない範囲で筋力運動を加える

「毎日体重を測って落ち込む」よりも、週1回、同じ時間・同じ条件で測って流れを見るほうが続きます。数値が動かない時期も必ずあります。

→ 2型糖尿病の治療について(食事・運動・薬物療法)

この記事についてのご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の患者さんの診断や治療方針を示すものではありません。記載している減量目標は、年齢、併存疾患、腎機能、使用しているお薬などによって異なります。記事の内容をもとに、食事量を大きく変えたり、お薬を調整・中止したりしないでください。ご自身の治療については、必ず主治医にご相談ください。

参考資料

一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン」 www.jasso.or.jp

一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」 www.jds.or.jp

厚生労働省「e-ヘルスネット」 www.e-healthnet.mhlw.go.jp

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター dmic.ncgm.go.jp

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品情報検索 www.pmda.go.jp

※各リンク先の内容は、公開後に更新される場合があります。最新の情報は各機関のサイトでご確認ください。

監修

森山 純江 ローズタウン糖尿病内科 院長

日本内科学会 認定内科医/日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医/日本リウマチ学会 専門医/日本医師会認定産業医

公開日 2026年8月 | 最終更新 2026年8月

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