ROSE TOWN DIABETES CLINIC | 群馬県前橋市江木町・糖尿病内科
受診と通院 公開日 2026年8月 | 最終更新 2026年8月

「そのうち行こう」で止まってしまった治療を、
もう一度始める

仕事が忙しくて予約を取り直せないまま、数か月が過ぎた。薬が切れたけれど、そのままにしている。次に行ったら怒られるだろうか。──治療から離れる理由は人それぞれです。この記事では、なぜ中断が起こるのか、中断すると体の中で何が起きるのか、そして再開のときに何をするのかを、公的な調査データとあわせて整理します。

この記事の内容

1. 治療の中断は、めずらしいことではありません

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる方のうち、これまでに治療を受けたことがない、あるいは現在治療を受けていない方が一定の割合で存在することが繰り返し示されています。

また、健診で「受診が必要」と判定されても医療機関を受診しない方、いわゆる未受診者・治療中断者への対応は、国の「健康日本21」でも継続的な課題として取り上げられています。

つまり、通院が途切れることは
あなただけに起きていることではありません。

参考:厚生労働省 国民健康・栄養調査/健康日本21アクション支援システム

2. 「意志が弱いから」ではなく、続けにくい理由がある

診察でお話をうかがうと、中断の背景には次のような具体的な事情があります。

通院の時間が取れなくなった仕事の異動、介護、子育て、転居。生活が変われば、同じ時間に通うことは難しくなります。
数値が良くなったので、もう大丈夫だと思った薬や生活の見直しで数値が改善したことは、治療が効いている証拠です。ただし、治療をやめてよいという意味とは異なります。
薬を飲むこと自体に納得できていなかった「なぜこの薬なのか」が分からないまま続けることは、誰にとっても難しいことです。
結果を見るのが怖くなった前回より悪くなっていたら、と考えると足が向かない。よくうかがうお話です。
費用の負担が気になった検査や薬の費用について、遠慮なくご相談ください。検査の間隔や内容を調整できる場合があります。

当院では、中断した理由をうかがうことから始めます。責めるためではありません。同じ理由でまた止まってしまわないように、通院の間隔や検査の内容、薬の形を一緒に調整するためです。

3. 症状がないまま進むから、気づきにくい

糖尿病は、血糖値が高い状態が続いても、初期には自覚症状がほとんどないことがあります。「体調は変わらないから大丈夫」と感じることは自然です。

一方で、高血糖の状態が長く続くと、細い血管や太い血管に影響が及ぶことがあります。国立国際医療研究センター 糖尿病情報センターでは、糖尿病の慢性合併症として次の分類が示されています。

分類主な内容
細い血管の合併症網膜症(目)、腎症(腎臓)、神経障害。自覚症状が出る前から進むことがあります。
太い血管の合併症心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患など。血圧や脂質、喫煙もあわせて影響します。

参考:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター/日本糖尿病学会

だからといって、怖がるための情報ではありません

合併症は、早い段階で見つければ手を打てるものが多くあります。網膜症であれば眼科での定期確認、腎症であれば尿検査での早期発見が可能です。中断していた期間が長い方こそ、まず現在の状態を確認する価値があります。

4. 再開した日に行うこと

「何年も空いているから、大変な検査をされるのでは」と心配される方がいます。実際には、まず現在地を確認するところから始めます。

01
これまでの経過をうかがいますいつまで通院していたか、どんな薬を使っていたか、なぜ止まったか。分かる範囲で構いません。お薬手帳や以前の検査結果があれば持参してください。
02
血糖値・HbA1cを院内で測定します数分で結果が出ます。その日の診察で現在の数値を確認しながらお話しできます。
03
合併症の確認について、必要性をご説明します尿検査、腎機能、眼科への確認など。すべてをその日に行うわけではありません。優先順位と時期をご相談します。
04
続けられる通院の形を一緒に決めます通院の間隔、来院しやすい曜日や時間帯、検査のまとめ方。以前と同じやり方に戻す必要はありません。

まず、現在の数値と状態を確認します。そのうえで、これからの治療についてご相談します。

5. 薬が手元にない状態が続いている方へ

以前処方されていた薬が切れたまま、時間が経っている場合があります。次の点にご注意ください。

残っている薬を、自己判断でまとめて飲んだり量を増やしたりしないでください。

使用期限を過ぎた薬、保管状態が分からない薬は使用せず、受診時にお持ちください。

薬の名前が分からない場合も、薬袋やスマートフォンで撮影した写真が手がかりになります。

インスリンを中断している方は、早めのご予約を

1型糖尿病の方や、インスリンが必要な状態でインスリンを中断している場合、短期間で体調が大きく変化することがあります。のどが強く渇く、尿の量が増える、吐き気がある、強いだるさがあるなどの変化がある場合は、できるだけ早い日時でご予約ください。ご予約の際に、症状の内容を備考欄にご入力ください。

意識がぼんやりする、繰り返し吐くなど強い症状がある場合は、予約を待たず救急医療機関の受診をご検討ください。

お薬の詳しい情報(効能・副作用・使用上の注意)は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品情報検索でご確認いただけます。
参考:PMDA 医薬品情報検索/独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

6. 続けやすくするために、相談できること

再開したあと、また止まってしまわないために。次のようなことは、遠慮なくご相談いただけます。

通院の間隔を延ばせないか

検査をまとめられないか

薬の回数や形を変えられないか

費用の負担を軽くできないか

仕事の都合に合う受診時間はあるか

目標値を現実的な範囲に見直せないか

医学的に理想的な方法でも、生活のなかで続けられなければ、よい治療とはいえません。何年空いていても、今日からもう一度始められます。

→ 糖尿病の治療を中断している方へ(詳しいご案内)

この記事についてのご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の患者さんの診断や治療方針を示すものではありません。記事の内容をもとに、お薬の量を変更したり、中止したり、再開したりしないでください。現在お使いのお薬については、必ず医師または薬剤師にご相談ください。

参考資料

厚生労働省「国民健康・栄養調査」 www.mhlw.go.jp

厚生労働省「健康日本21アクション支援システム」 kennet.mhlw.go.jp

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター dmic.ncgm.go.jp

一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」 www.jds.or.jp

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品情報検索 www.pmda.go.jp

※各リンク先の内容は、公開後に更新される場合があります。最新の情報は各機関のサイトでご確認ください。

監修

森山 純江 ローズタウン糖尿病内科 院長

日本内科学会 認定内科医/日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医/日本リウマチ学会 専門医/日本医師会認定産業医

公開日 2026年8月 | 最終更新 2026年8月

何年空いていても、
今日からもう一度始められます。

受診できなかったことを責めることはありません。まず現在の状態を確認するところから始めます。

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